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在来種?F1種?『おいしい野菜』と『種(しゅ)』について考える
なるほど! おいしいの素 2016.08.02
トマト、きゅうり、ナスなど、スーパーの陳列棚がにぎわい、夏野菜のおいしい季節。今回は野菜の『種』について考えてみるお話です。 スーパーに並んでいる野菜はきれいで、すべて同じような大きさ、色、形をしていますが、そこには『種』が深く関係しています。『種』の話を知って、おいしい野菜について考えてみましょう。
『F1種』のお話
スーパーなどで見る野菜はF1種と言って、交配で作られた新品種の一代目、いわゆる品種改良されたものがほとんど。 F1種は、収量が多い、成長が早い、均一性(形や大きさがそろえられる)という性質を持つように人為的に作られた雑種。一代目に限って、意図した性質になるように作られているため、F1種の個体から二代目はできにくいと言われています。
流通に適した『F1種』
極端な話、F1種のきゅうりの種を育てても、きゅうりができるとは限りません。かぼちゃができるかもしれません。いわゆる「循環しない品種」とも言われます。F1種は食品流通にはとても便利で、世界の人口増加や食料危機を考えると必要な技術とも言えます。ですが、このような人為的な品種改良の先に、遺伝子組み換え技術などがあることも忘れてはなりません。
『F1種』とどう付き合うか?
また、野菜は本来は生きものです。子孫を残せない野菜に違和感を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 便利さに流されてしまうと、本当の野菜の『種』が途絶えてしまう、と危惧する声もあります。
本当の野菜の種『在来種』
昔ながらの野菜作りでは、一番よくできた野菜の種を採り、その種を蒔いて育てた中からまた一番よいものを選んで種を採り、ということを何代も繰り返して、土地に根付いた強い野菜を育てます。そのような種は『在来種』と呼びます。 年月をかけて気候や風土に適応した在来種は、力強く、肥料や農薬に頼りすぎない栽培ができ、種を採って二代目、三代目と子孫を残していきます。
在来種の野菜の味わい
野菜は一般的に緑の濃いものがおいしいと言われますが、野菜によっては、実は色の薄いものの方が本来の野菜の姿に近く、おいしいとも言われています。 また在来種は野菜本来の味わいがあり、素朴なおいしさがあります。
生産者や育て方を知って、安心して食べられることこそ、おいしく食べる大切な要素かも知れません。毎日食べる野菜に、少し目を向けてみてはいかがでしょうか?
omiso:食べることが大好きな食のプランナー。料理上手になりたいけど、まじめに料理教室に行くのはなんだか違う。市販の本も結局読まない。レシピ通りに作るだけでなく、応用方法をもっと知りたい……!